大腿骨遠位部骨折


どんな外傷か

 大腿骨の下端、膝近くでの骨折です(図23)。交通事故や転落など大きい外力が加わって発生する場合と、高齢者で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)がある人、とくに女性が転んで発生する場合とがあります。膝関節の上で折れる場合と、関節のなかにまで骨折が及ぶ場合とがあります。ともに膝関節部分の骨折なので、適切な治療が行われないと関節の動きが悪くなります(関節拘縮(かんせつこうしゅく))。

合併症はどんなものか

 膝の後ろを通っている血管や神経が損なわれる場合があります。治療後の合併症としては、関節拘縮や、骨がつかないこと(偽関節(ぎかんせつ))があります。

症状の現れ方

 膝上から膝にかけての痛みとはれがあり、歩けなくなります。骨折した部分にずれがあれば、膝で変形します。血管や神経の損傷がある場合には、足の色が白っぽくなりしびれが出て、足首や足の指の動きが悪くなります。

検査と診断

 膝のX線検査を行います。関節内にまで骨折が及んでいる場合には、CT検査を行うこともあります。血管の損傷が疑われる場合には、血管造影を行います。

治療の方法

 骨折のずれがない場合にはギプスで治療します。ずれがある場合には、しっかりと固定をして膝を早くから動かす必要があるので、手術をしてプレートとネジや髄内釘(ずいないてい)で固定します。骨折をしている部分の骨がばらばらになっている場合には、骨にピンを入れて体外で器具によって連結する創外固定(そうがいこてい)を行うことがあります。手術までの待機期間に、すねの骨にワイヤーを入れ、重りをかけて引っ張る場合もあります(直達牽引(ちょくたつけんいん))。動脈の損傷がある場合には緊急手術を行い、足の血行を改善する必要があります。

応急処置はどうするか

 患者さんの苺(でんぶ)から足まで長い副木(ふくぼく)を当てて、ただちに病院(整形外科)に運んでください。


(執筆者:澤口 毅)