洗浄に緑茶抽出液を利用
床擦れの治療
−組織活性化が早い−
寝たきりの高齢者などに起こりやすい床擦れの治療に、緑茶の利用が注目されている。日野市立総合病院(東京都)看護部は、東京都農業試験場との共同研究で、床擦れの洗浄に緑茶からの抽出液を用いて、優れた治療効果を上げている。
● 5カ月で治癒
緑茶に含まれるカテキン類には、抗菌・抗ウイルス作用をはじめ、抗酸化や抗がん作用があると報告されている。こうした働きに着目した同病院看護部は、医師と相談した上で、床擦れの洗浄に滅菌した緑茶の利用を試み、好結果を得たため、東京都農業試験場と共同で本格的に緑茶の利用に取り組んだ。その結果、床擦れ洗浄水として、現在は、100度の湯5リットルにガーゼに包んだ緑茶10グラムを5分間浸して溶液を作り、1リットルの空き瓶に入れて高圧蒸気滅菌した後、保存して使用している。
この緑茶抽出液による洗浄は大きな効果を上げているが、その好例が、糖尿病で入院した58歳の男性Aさんのケース。入院時に、左右のかかとに壊疽(えそ)があったため、左かかとは従来用いられているイャWン洗浄液で、右かかとは緑茶で洗浄を行った。2カ月後、緑茶洗浄側がイャWン洗浄側に比べ、組織の肉が盛り上がるなど回復が著しかったため、両かかととも緑茶洗浄に切り替えた。その結果、治療開始から5カ月後には、右側は治癒、左側も回復してきた。
● 消臭効果も
緑茶洗浄は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による床擦れにも有効だった。床擦れの治療には、洗浄のほかに、症状に応じた治療薬の使用や、基礎疾患の治癒、栄養改善、時間ごとの体位交換、エアマットによる除圧対策など、総合的なケアが必要だ。
緑茶での洗浄に携わっている看護婦の吉田妙子さんは「緑茶抽出液は、カテキンの抗菌作用に加え、水素イオン濃度(pH)5.6前後の弱酸性溶液であることが、細菌の増殖を抑え、組織の活性化をもたらすと考えられます。緑茶洗浄は、今後さらに検討を重ねる必要はありますが、洗浄時に患者への刺激が少なく、消臭効果もあるので、有用性は高いと思います」と話している。
